山本少年の事件簿（ディズニーランド編）
＜戻る＞ ＜もっと（トップ）戻る＞それはいつものメンバー八人で東京ディズニーランドへ出かけた時のことである。
いくつかのアトラクションを回って、シュプラッシュ・マウンテンにやってきた。
人気のアトラクションは、かなりの時間待つことになる。もちろん、ここでもしばし待つことになった。
待っている間、次のアトラクションはどこへいこうかなどと作戦を練る。それでも時間が余るといつものようにとりとめもない話をし始めた。このとき一番の話題がこの場に来なかったメンバーのことである。
その日は全員で九人のいつものメンバーがそろうはずだったのだが、そのうちの一人が朝になって急に来られなくなった。
「実はそこら辺にいてこっそり見ているんじゃないの？」とか、
「シュプラッシュ・マウンテンに乗るときに、切符確認していたりしていて……」とか、
「いやいや、彼（朝来られなくなった酔っぱらい）だけではなく、あの人とかこの人もいるんじゃない」など、
まさしくたわいもないことをまじめに話していた。
そのうち、「あの人もいたりして」「いや、あの人を見た！」などとんでもない話になってきた。
そこで、私は実に現実的な冗談を思いついた。元ネタはそのとき（いまでもはまっている）ミステリィ小説からである。
「ここに女性が二人いるから、どちらかに妊娠していれば全員で九人だ！」
確かにこの場に来ていた女性二人は結婚しており、考えられない話ではない。
私は、自分の論理的な（!?）推理にひとり満足していた。
そんな私に関係なく話はそのまま盛り上がり、最終的には「技の一号」（＊）の水子が取り憑いているから「水子が二人と子供がひとりで、十一人いる！」とどこかで聞いたようなせりふで落ち着いた。
（＊）この場に来ていた酔っぱらいが「技の一号」、この場に来ていなかったの「力の２号」である。
どちらも比類なき「酔っぱらい」である。
ディズニーランドで遊んでから数週間後、またいつものメンバーで忘年会となった。
だいたいいつものメンバーが集まったのだが、私の先輩の嫁さんが来ていなかった。
ちなみに、この嫁さん私の同期生である。
なにげなく先輩に来ていない理由を聞くと、先輩は私だけに聞こえるように言った。
「子供ができてね、大事をとってこさせなかったんだ……」
私はお祝いの言葉を述べた後、はっと気がついた。
これまた私も小声で尋ねた。
「いつ分かったんですか」
「つい最近で、……」と話をしてくれた。
逆算すると、なんとディズニーランドに遊びに行ったときには妊娠していたのではないか！
「えっ、あのとき冗談でいったことは本当だったんですか！」
と、思わず口走ってしまったが、冗談が冗談でなくなってしまったのである。
それから数ヶ月後、そのときの九人目は男の子と分かりました。
おめでとう！
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